写真で見るバスの歴史 III
苦難の時代に(太平洋戦争の時代)
大正から昭和にかけて興隆期を迎えたバス事業は、日中戦争の勃発以降、苦難の時代へと突入して行きます。燃料事情の悪化とともに、木炭や薪などの代用燃料車への転換を余儀なくされ、太平洋戦争を経て昭和24年頃までは、燃料の確保が業界の最重要課題となっていました。
終戦後は、燃料と部品・用品が枯渇するなか、戦地からの引揚者で乗客は増加する一方で、軍用車量の払い下げ車両を活用して、バス事業を行っていました。東京では、アメリカの進駐軍から軍用トラックが払い下げられ、事業用のバスとして改造し、輸送力を確保するためにそのエンジンのパワーを利用して老朽車を牽引していたという例もあったのです。
『バス事業百年史』(公益社団法人日本バス協会刊より引用)