さらなるバスの進化へ!『第45回東京モーターショー2017』
新時代のモビリティと、さらなるバスの進化!『第45回東京モーターショー2017』開催!
2017年10月27日〜11月5日、江東区・有明の東京ビッグサイトで『第45回東京モーターショー2017』が開催されました。そのテーマは「世界を、ここから動かそう。BEYOND THE MOTOR」。隔年開催の今年は、業界の垣根を超えて世界最先端のモビリティの価値が集結し、海外メーカー13社を含む153社・団体が出展しました。最先端のバスにも注目が集まり、新型バスに乗るために列をつくる来場者たちで、大きなにぎわいとなっていました。
新時代のクルマが暮らしとどう関わるかに注目が集まる中、さらに進化したバスが未来へどう向かうのか、そのレポートをお伝えします。
■ドライバーとユーザーのためにできることが満載
●いすゞ自動車の「エルガ」はさらなる環境品質へ
まずは、いすゞ自動車のブースへ。「運ぶの時代に、できること。」という出展テーマで、未来の「運ぶ」を支える取り組みが紹介されていました。出展された大型路線バス「エルガ」について、いすゞ自動車販売株式会社の藤井勇一郎さんにお話をうかがいました。「この『エルガ』は、9月から市場に投入しているものです。国土交通省が定めるノンステップバス認定仕様に準拠したモデルで、前向きの優先席にしたり、通路幅を拡張したりするなどの取り組みを行っています。エンジンは6気筒から4気筒にダウンサイジングし、排出ガス後処理装置の更なる性能向上とともに、ヨーロッパの「ユーロ6」よりも厳しい排出ガス規制を満たしています。それとともにトランスミッションではAMT(自動クラッチマニュアルトランスミッション)も導入し、さらなる燃費向上をはかっています」
バリアフリーやユニバーサルデザインにも配慮した大型路線バス「エルガ」
- お話をうかがった、
いすゞ自動車販売株式会社の藤井勇一郎さん
- いすゞの出展テーマである「運ぶの時代に、できること。」が、
「エルガ」にもあしらわれていました
●運転環境の改善でドライバーをサポート
藤井さんに、さらに「エルガ」の運転席など、新しくなった部分についてうかがいました。「AMT(機械式自動変速マニュアルトランンミッション)操作レバーのカバーを小さくしたり、運賃箱の位置を見直すなど、細かな工夫によって運転席のスペースを若干広げて運転環境を改善しています。また、お客様の座席では一部足乗せ台の見直しも行い、膝前を広げて居住性を確保しました。それに、このモデルからヘッドランプにLEDランプを採用して、視認性の高さに加え、ロングライフ化を実現しました。」
- バリアフリー・ユニバーサルデザインで、
通路幅の広さも特徴です
- 細かな改善を重ねて、ドライバーの居住性・快適性にも
配慮しています
- LEDヘッドランプの採用によって、夜間の視認性も
向上しました
- 車いすの固定装置や、ベビーカーを固定できる
フリースペースも
●ユーザー視点の優しさのあるスロープ
利便性の高まった中扉のスロープについてもうかがいました。「スロープ板は折り畳みの反転式で、素材も軽くなり、ほんの5秒もあればセットできます。スムーズに利用できてお客様をお待たせすることもありませんから、車いすやベビーカーを使われる方にとっても、うれしい仕様だと思います」と藤井さん。ユーザー視点の優しさが盛り込まれた新しいバスは、モーターショーに訪れたお客様にも大人気で、何度も乗ってみるお子さんたちの姿も見られました。
- 軽量素材の採用によって、乗降がますます
スムーズになっています
- スロープが折り畳まれた状態から、乗務員が簡単に
引き出すことができます
●ハイブリッド連節バスの開発も着々と進行
最後に、未来のバスの姿についてもうかがいました。「現在、日野自動車さんと共同で、国産初のハイブリッド連節バスの開発に取り組んでいます。生産はジェイ・バスさんで、2019年頃の市場投入を目指しています。一度にたくさんのお客様を運べるようになるため、混雑の解消などにも貢献できます」まさに未来の「運ぶ」を新しくする、これからのワクワクする取り組みに期待もふくらみます。
- コンパニオンのお姉さんが受付でバスのモデルを紹介
- 未来の連節バスの紹介は「ぬり絵」になっていて、
お子さんが楽しく好きな色を塗れるようになっていました
■すでに地域で活躍しているEVバスの姿
●たくさんの子どもたちも参加した楽しいイベント
続いて、日野自動車のブースを訪問。「もっと、はたらくトラック・バス」をテーマに、未来の交通がいきいきと見えてくるような楽しい紹介がされていました。ブースの各所には、子どもたちが自由に描いた、未来に働くバスやトラックの絵を展示。そして大画面モニターでは、描かれたクルマたちが未来の街を走っている様子が映し出されていました。
- 子どもたちが描いたトラックやバスは、大画面モニターの中で
未来の街を楽しそうに走っています
- 「未来のトラック・バスを描いてみよう!」のテーマで
子どもたちが描いた色とりどりのクルマが展示されていました
- 「日野ポンチョEV」をはじめ、
「日野メルファ プラグインハイブリッド」
「燃料電池自動車」についても、
モニターで分かりやすく
紹介されていました
●地域に親しまれている「日野ポンチョEV」
「EVシフト」の波が押し寄せている時代ですが、日野自動車のブースに展示されていたのは、小型ノンステップ電気バスの「日野ポンチョEV」。かわいいデザインでおなじみの「日野ポンチョ」をEV化したもので、2012年から既に実用化。地域の人々の移動を支えるコミュニティバスとして活躍しています。東京都羽村市では羽村市役所を中心に、はむらでんきバス「はむらん」が運行。東京都墨田区では東京スカイツリーを中心に「すみりんちゃん」が運行。そして石川県の小松市では「宇宙バスこまち☆」が運行し、多くの人に親しまれています。
かわいいデザインの車体が目を惹く、小型ノンステップ電気バス「日野ポンチョEV」
●EVならではの乗り心地をお客様に提供
さらに、日野自動車株式会社の飯島真琴さんに「日野ポンチョEV」についてお話をうかがいました。「すでに3ヵ所で営業運行している電気自動車のバスです。エンジンのない走りはとても静かでスムーズですから、お客様にもご好評いただいていると聞いています。もちろん走行中に二酸化炭素を発生しないなど、環境への優しさも大きなポイントだと思います。コミュニティバスとして親しんでいただいていますから、その地域に合わせた色やデザインにも注目していただけたらうれしいですね。現在は実績を生かしながら、さらなる改善・開発に取り組んでいます」とのことでした。
- 乗車定員は36名で座席は11席。
小型ですが車内はかなり広々としています
- 後ろから見た姿もかわいい「日野ポンチョEV」。
バッテリーは約30kWhのリチウムイオンです
■未来を照らし出す! 頼れる大型観光バス
- 三菱ふそうトラック・バス株式会社の
品田善之さん
●運転への負担を軽減する新型「エアロクィーン」
そして、三菱ふそうのブースへ。「LIGHT UP TOMORROW」という出展テーマのもと、光の演出が美しい印象的な空間が創造されていました。ここでは約10年ぶりに大きな進化を果たしたという大型観光バス「エアロクィーン」が、その流麗なスタイリングとともに登場。ライティングの効果によって、より幻想的な姿を現していました。
新しい「エアロクィーン」について、三菱ふそうトラック・バス株式会社の品田善之さんにお話をうかがいました。「今年の5月に発売しましたが、今回のモデルから8段機械式AMTの『ShiftPilot』を全車に標準装備し、運転にかかる負担を大きく軽減しています。これによって、さらなる安全運転を追求しました。安全機能が大きく進化し、衝突被害軽減ブレーキ『ABA3(アクティブ・ブレーキ・アシスト3)』や、運転手の注意力低下を警告する『アクティブ・アテンション・アシスト』などを搭載しています」
三菱ふそうの主力となる大型観光バス「エアロクィーン」
●ウィンドウにもさまざまな工夫を実現
さらに「エアロクィーン」のデザインについてもうかがいました。「サイドウィンドウがサッシュレスになっているため、見た感じもスッキリして、開放感が増大しています。また、リアウィンドウに後面シグネチャーライトを採用し、スタイリッシュさを加えるとともに、後方からの視認性を高め安全性も向上しました」と品田さん。暮らしの明日、物流業界の明日を照らす「LIGHT UP TOMORROW」の取り組みが、ブース全体から感じられました。
- リアウィンドウの放物線の枠に
後面シグネチャーライトを採用しています
- 観光バスの新たなベンチマークをめざした
新型「エアロクィーン」
- 先進性を感じさせる「エアロクィーン」の紹介パネル
●興奮と感動のVR体験でイベントをショーアップ
「エアロクィーン」に乗車してVRを体験できるコーナーには、長蛇の列ができていました。「光とドライブ感がすごい、素晴らしいVRでした」との声もあり、「LIGHT UP TOMORROW」のコンセプトと連動し工夫を凝らした「FUSO Future TOKYO Experience」のVRコンテンツに、多くのお客様が満足されていたようです。
ミニシアターと化した「エアロクィーン」のVR体験コーナーには長蛇の列ができていました
取材後記
今回のモーターショーでは、進化するバスのさまざまな姿が見られました。EV化、連節バス、そしてより進んだ安全性への取り組みなど。まさに全体のテーマである「世界を、ここから動かそう。BEYOND THE MOTOR」の躍動感が、バスの世界でも感じられました。そして、見た目だけではない地道な努力を積み重ねることによって未来が開かれることを、改めて確認しました。バスに乗る人、そして運転する人へのサポートが、笑顔の未来につながっていくことは言うまでもありません。各社の継続した取り組みに、今後も大きな期待が寄せられます。