新宿南口交通ターミナル『バスタ新宿』オープン!
新宿南口が変わった! 高速バスのりばを集約した『バスタ新宿』が誕生!
2016年4月4日。新宿駅南口に、鉄道駅や高速バスターミナル、タクシー乗降場などを集約した交通ターミナル「バスタ新宿」がオープンしました。これまで新宿駅西口周辺に分散していた19ヵ所の高速バスのりばを集約し、利用者にも分かりやすく、利便性の高い施設として誕生。国内最大規模の高速バスターミナルは新宿駅に直結し、高速バスと鉄道やタクシーなどとの乗り換えがスムーズになりました。乗り入れる高速路線バスの運行事業者数は118社にも及びます。
いろんな高速バスの姿を一度に見ることができるのも、楽しいもの。バスのファンにはたまらない、生まれたばかりの「バスタ新宿」を、4月20日に訪れた様子をレポートします。
■新たな東京の玄関口として、待ちに待ったバスターミナルが誕生!
●日本最大級の高速バスターミナルが出現!
1日の利用客数が340万人以上で、ギネスでも世界一と認定されている新宿駅。その新宿駅の、長らく工事を行っていた南口が...変わった! たしかに変わりました! その大きな理由の一つが「バスタ新宿」。これまで、各地への高速バス乗降場が駅周辺に散在し、利便性に欠けていた問題を解消。日本最大級のバスターミナルが誕生したのです。「バスタ新宿」が日本一であるスケール感を、まずは数字で分かりやすくご紹介しましょう。
【バスタ新宿の日本一データ】
●高速路線バスの発着便数 1,625便 ※ピーク時
●高速路線バスの停車場数 15バース
●高速路線バスの運行事業者数 118社
すっかり新しい表情に変わった新宿駅南口。施設のすっきりとした美しいファサードも魅力です
- サインや動線が分かりやすいので、
安心して利用できます]
●「新南改札」から直結! 徒歩約2分で快適!
「バスタ新宿」へのアクセスはとてもシンプル。JR新宿駅南口から横断歩道を渡ってすぐ。エスカレーターやエレベーターで、利用階まで快適に到着します。「新南改札」からは最短直通で徒歩約2分ですから、雨にも濡れずに早く到着できてとても便利です。
- エスカレーターなどでスムーズにアクセス
●3階にはタクシーのりばと東京観光情報センターがオープン!
「バスタ新宿」という名前は愛称で、公募によって決定したもの。正式名称は「新宿南口交通ターミナル」です。名前の由来はいろいろありますが、「バス&タクシー ターミナルの略」というのもその一つ。3階には、広いタクシーのりばがあります。これによって、目の前を通る国道20号線のタクシーの列がなくなることで、混雑が緩和され、渋滞や交通事故が減らせるのではないかと期待されています。今後は、新宿南口でタクシーに乗りたい時は、「バスタ新宿」の3階へ行けばいいのですね。
そして3階には、高速バスの降車場があるほか、さらに都が運営する東京観光情報センターを設置。都内をはじめ日本全国の観光情報を、英語、中国語、韓国語で提供するとともに、民間事業者と連携して宅配・クロークサービス、外貨両替、旅行・チケット販売など、旅行者のニーズに応えるサービスを提供。センター内には無料のWi-Fiサービスもあります。
- 3階には東京観光情報センターも設けられ、
さまざまな観光情報を提供
- 「バスタ新宿」3階のタクシーのりば
■新宿から全国39都府県、300都市を連結するネットワークが確立!
- 年々増え続ける高速バスの利用に
対応できる充実した拠点となっています
●1日の発着本数はピーク時で1,600便以上
さぁ、いよいよ4階へ。屋外のロータリーは、新宿から全国39都府県、青森から福岡までの300都市を連絡する高速バスネットワークの起点になっています。どこ行きのバスかが一目で分かる案内板なども整備。1日の発着本数は最大で1,625便の予定ということです。
サインやインフォメーションが色分けされて分かりやすいのも特長です
- 新宿高速バスターミナル株式会社
副所長 猿渡史彦さん
●昼行便も夜行便もスムーズに運行できるように工夫
新宿高速バスターミナル株式会社の副所長である猿渡史彦さんに、「バスタ新宿」についてうかがいました。
「現在は12バース、すなわち12番線まであります。A、B、C、Dの4つのエリアに大きく分かれ、昼行便については概ね方面分けがなされています。Aエリアは羽田、成田などの空港線や近郊路線が中心。Bエリアは山梨や静岡など。Cエリアは主に中央道の長野方面。Dエリアは遠距離路線で、名古屋以西や東北方面などになります。21時以降の夜行便になると、0時45分くらいまで本数も多いですから、方面別ではなく、10分単位で各エリアからどんどん出発することになります」
6階の屋上庭園から眺めた4階のバスのりば。今まで19ヵ所に分かれていた乗降場を、1ヵ所に集約しました
●足並みを揃えた118社の高速バス事業者
「118社のバス事業者が乗り入れていますから、会議を重ねながらさまざまな調整を行いました。さすがに118社というのは、日本全国でも初めてのケースでしょうね」。まだ段階的な運用を行いながら、到着便や続行便などについては、今後のオペレーションを通して精度を高め、徐々に改善して行かれるそうです。
夜行便は出発の時間が集中しないように、AエリアとDエリア、
BエリアとCエリアの発車時間を5分ずらすなど、運行の工夫もなされています
- 見やすい表示によってバスの運行をお知らせ
Aエリアが1〜3、Bエリアが4〜6、Cエリアが7〜9、
Dエリアが10〜12のバースにそれぞれ分かれています
- 色とりどりのバスが次々に発車して行きます
■誰でも利用しやすい配慮のある、広々とした快適空間
- 4階の待合室には、出入り口が2ヵ所設けられています
●きれいな空間はまるで空港のターミナル
4階の待合室へ。これまでは屋外にあったバスの乗降環境が、大きく改善されました。まるで空港のターミナルのような雰囲気で、バスによる旅行や移動をワクワクしながら待つような感覚になります。
●分かりやすいサインやピクトグラム表示
この日も多くの人が利用していた「バスタ新宿」。「外国の方の利用も多いので、待合室の中は4ヵ国語による表示を行っています」と猿渡さん。サインやピクトグラムによって、誰にでも分かりやすい表示がなされているのも、大きな特長でした。
- 広い待合スペースには、座り心地のよい
146席の椅子が用意されています
- 多くの人で賑わっていた待合室
木をイメージした内装も施されています
- 予約システムを利用している高速バスの乗車券や回数券、
企画きっぷなどを購入できる自動券売機も
多く用意されています。奥に見える
オレンジの券売機は空港便のリムジン専用です
- 各社のチケットが発行される発券カウンター
方面ごとに色分けされた分かりやすい表示によって、利用者をサポートしています
●インフォメーションやトイレなども充実
「『印刷された、統一の時刻表がありませんか?』という問い合わせをいただくことがありますが、バスはひんぱんに時刻改正や目的地変更があるので、ご用意はありません。そこはご理解いただけたらと思います。もちろんWeb上ではご覧いただけますし、インフォメーションカウンターでもタブレット端末で自由に閲覧いただけるようにしています」と猿渡さん。今後は売店なども設置して、より便利になる予定とのことです。
- 車いす対応、オストメイト対応の多機能トイレや、
授乳室なども充実。音声による誘導も行われています
- インフォメーションカウンターでは、
英語、中国語での案内も行っています
■安全を見つめながら、安心の運行をサポートする体制も
●先進のツールも利用している管制室
特別に管制室も案内していただきました。「ここではETCなどによってバスの運行を管理しています。ETCの登録番号によって、どのバスがどの位置にいるか分かるようになっています」とのこと。オープンしてからスムーズに運用できているか尋ねると「オープン直後はまだ春休み中の週末で、利用者もかなり多かったのですが、これといった混乱もなく乗り切ることができました。これから先も大丈夫だと思います」と語ってくださいました。
- 「バスタ新宿」専用レーンを設けるなど、
スムーズに運用できる工夫が施されています
- 管制室には常時2〜3名がいて、マルチディスプレイ
なども見ながらバスの運行をサポートしています
バスタ新宿 施設概要
所在地:渋谷区千駄ヶ谷5-24-55
施設面積:約1.47ha(2階の人工地盤範囲を示す)
構造:鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造
用途:4階 高速路線バス関連施設
3階 タクシー乗降場など
2階 歩行者空間
※施設面積は「バスタ新宿」以外の駅施設なども含む。
編集後記
19ヵ所に分かれていた高速バスのりばが1ヵ所に集まり、分かりやすく、利用しやすくなった「バスタ新宿」。重い荷物とともに、傘をさしながら、駅から少し離れたのりばへ移動するという、今までの不便も解消されることになりました。電車の駅とも直結し、新たな東京の玄関口としての役割が期待されます。新しくなった新宿、そこに新しく生まれた「バスタ新宿」というコンテンツは、交通の拠点としてはもちろん、都市のポテンシャルを高める重要な拠点として、これからも大きな注目を集めそうです。