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はとバスの新型2階建て『アストロメガ』登場!

はとバスが海外と力を合わせて生み出した新型2階建てバス『アストロメガ』

2016年4月25日より、はとバスでは、新型2階建てバス「アストロメガ」を都心周遊の定期観光コースに投入。その先行試乗会での様子をレポートします。「アストロメガ」は、スウェーデンのスカニア社、ベルギーのバンホール社、そしてはとバスの3社で共同開発を行い、日本初導入となったオリジナル仕様。海外と日本では異なる車両基準をクリアし、7年ぶりの新車両導入となる2階建てバスが、2020年に向けて、ワクワクする新しい眺望とともに走り出しました。
試乗会は東京駅から出発し、東京タワーや国会議事堂など、東京のシンボルを巡りながら、汐留のレストランで昼食のブッフェを楽しむという、実際のコースに準じたものでした。

■5年の歳月をかけて、さまざまな困難を乗り越え、海を越えた合作!

●日本と海外でのわずか5cmという大きなハードル

はとバスでは、1983年に初めて2階建てバスを運行して以来、そのコースを拡大してきました。「ハローキティバス」や、屋根なしのオープンバス「オー・ソラ・ミオ」など、オリジナル仕様のバスが親しまれ、はとバスの2階建てバスは年間20万人に利用されています。しかし、2009年に国内メーカーでの生産が中止になり、2階建てバスを導入し続けることができなくなりました。そこで、魅力があり人気の高い2階建てバスに新たな道を拓こうと、2011年から海外に目を向けます。そして、ヨーロッパのバス製造メーカーから、日本に合う2階建てバスを探し出すことにしました。
しかし、ここに大きな問題がありました。日本では法規で幅が2.5m以内と定められていますが、ヨーロッパでは2.55mなのです。わずか5cmの違いが、壁として立ちふさがりました。しかも、全長も日本では12m以内ですが、海外では13m以上のものが主流。全高も日本では3.8mが上限となります。さらに装備などの問題もあり、新しい2階建てバスの導入は困難を極めました。

日本の法規に合わせて2.5mの車幅などをクリアした、まさに夢の「スペシャルモデル」

●スウェーデンとベルギーと日本が協力!

そんな時に打診があったのが、訪問先の一つだったベルギーのバスメーカー「Van Hool(バンホール)」社。日本向けのサイズでボディを作ってもいいという話をもらって、ボディメーカーが決まりました。あとはエンジンとシャーシ。そして、スウェーデンのトラック・バスなどのエンジンメーカーである「SCANIA(スカニア)」社に白羽の矢が立ちました。海外での実績、低速トルクが豊富なエンジン特性、そして部品調達やサービス網などのバックアップ体制が考慮されたのです。
2016年、プロジェクトがスタートしてから5年という歳月を費やし、スカニア社製エンジン・シャーシに、バンホール社製の車体を組み合わせ、鮮やかな「はとバスのイエロー」に彩られた新しい2階建てバスが、颯爽と日本に上陸しました。

バスの後部には、スカニア社、バンホール社、
はとバスのロゴマークが勢揃い
エレガントなゴールドのラインも特徴的。さまざまな角度
でのラインの交わりは、友好をイメージしたものです
株式会社はとバス 運転手 村尾吉貞さん

【インタビュー】はとバス運転手・村尾さん
●操縦性も進化している海外製のバス

運転手の村尾さんに、「アストロメガ」についてうかがいました。「スカニア社のミッションを運転するのは初めてですが、操縦はしやすいですよ。クラッチペダルがなくて、扱いはフルオートマチックとあまり変わりません。ボディ、エンジン、シャーシに加えて、空調もドイツのエバースべッシャー社製。ほとんどの要素が海外製という、かなり珍しいバスなのではないでしょうか。いろんな国のいろんな会社が協力して、いいバスを作ることができたと思っています」

 

 

■友好をイメージし、2020年に向けてGO!

株式会社はとバス 観光バス事業本部
営業企画部長 小山壮勇さん

【インタビュー】はとバス営業企画部長・小山さん
●国内の最新型の標準と同様の
各種セーフティテクノロジーを搭載

続いて、【BUS STOP】13号でもご登場いただいた、株式会社はとバスの観光バス事業本部・営業企画部長の小山壮勇さんにうかがいました。
「同じ車両を来年2台、再来年2台導入して、計5台に増やす予定です。ボディにペイントされたラインは、世界の五大陸を5本の曲線で表現し、友好をイメージしています。安全装置に関しては、日本の最新型の標準と同様のものを備えています。衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報装置、横滑り防止装置、タイヤ空気圧モニタリングシステムなどです」

 

●増え続ける外国人旅行客のための
8ヵ国語に対応した自動ガイドシステムも

さらに、はとバスオリジナルの自動ガイドシステムについてうかがいました。
「訪日する外国人旅行客の増加に合わせて、『TOMODACHI(ともだち)』システムという自動ガイドシステムを2012年から導入しています。『アストロメガ』では、近年増えているアジアの言語を中心に、8ヵ国語に対応。ツアー参加者に貸し出すワイヤレス受信機が、バスのGPS位置情報を捕捉して、そのポイントでの観光情報を自動配信します。最近では特に、台湾やベトナムの方などが非常に多くツアーに参加されていますし、そうした方々にも日本のことをよく知っていただけるとうれしいですね」

右写真:英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、タイ語、インドネシア語、ベトナム語の8ヵ国語に対応している自動ガイドシステム「TOMODACHI」

トランクの広さも大きな特長の一つ

■快適な乗り心地やバリアフリー、情報へのアクセスなどにも配慮

●広い窓からの眺めはさすが2階建てバス

「アストロメガ」は全高3m78cm。1階建てバスとそんなに変わりませんが、座席の位置が高くて眺望がよいのが特長です。通常は2階にある48席を使って営業。1階建てのバスよりも4席多くなっています。2階には運転席がないので、前方の席からも外の眺めを満喫できます。

座り心地のよいゆったりとしたシート
トランスミッションはクラッチレス機械式
オートマチック(オプティクルーズ)

2階には48席が設けられています。なお、床は高級感のあるフローリング調
不燃難燃対策としてロンリウムに木目を印刷したものですが、本物の木に見えるほどの仕上がりです

1階に設けられた2台の車いすの固定システム

●車いすの方でもラクに乗車できる仕様

1階には2台の車いすを固定でき、安全に走行。スロープを設けて、ノンステップで乗降することができます。


●Wi-Fiなどの充実した車内設備

車内ではWi-Fiのアクセスポイントを搭載し、乗車中に無料でインターネット接続することが可能。また、座席にUSBコネクターを設置しているため、デジタル機器などの電池切れを防ぐことができます。

■■主要なスポットをぐるりと一望できる充実の東京周遊コース

 

●2階からのすばらしい眺めをすっかり満喫!

4月25日より、「東京タワーと国会議事堂」などを巡る昼コースを運行。また、4月29日より「二大ブリッジドライブと夜景の六本木ヒルズ」を楽しむ夜コースを運行します。この日の試乗会は昼コースに近いもので、国会議事堂や東京タワーなど、東京のシンボルであるスポットを通り、途中「ロイヤルパークホテル ザ 汐留」の24Fにあるスペシャリティレストラン「ハーモニー」でランチブッフェ、皇居、歌舞伎座、お台場なども通過し、歴史と伝統ある場所から新たに活気の生まれている場所まで、さまざまな街の表情を眺めることができました。

右写真:外国人観光客にも人気のスポットである国会議事堂

新たな豊洲市場と、現在の築地市場を
両方眺めることもできました。
この日の築地市場はたいへんな人手で賑わっていました。
代表的な観光スポットであるレインボーブリッジも通行

車輌概要
バスシャーシ・エンジン:スカニア社(スウェーデン)
ボディ:バンホール社(ベルギー)
座席数:2F 48席、1F 4席+2席(車いす)
全長11.990m、全高3.780m、全幅2.490m



編集後記

2020年の東京オリンピック・パラリンピックのキーワードになっているのが「おもてなし」。さまざまな困難を乗り越えて、2階建ての新型バスを導入したのも、その根幹には充実したおもてなしを提供したいという想いがあるからでしょう。東京観光のリーディングカンパニーとして、東京や日本の魅力をアジア諸国に発信したい。そして、新たな観光スタイルを提案し続けながら、世界に誇れる「オリジナルバスブランド」を築きたいという企業思想が、明るく輝く黄色の2階建てバスに込められているようでした。


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