急増する外国人観光客!おもしろすぎるバスツアーが続々登場!
急増する外国人観光客!おもしろすぎるバスツアーが続々登場!
2015年1月~9月までの統計(日本政府観光局10月21日発表)で、すでに1,448万人に達し、前年比で48.8%の伸び率となっている訪日外国人数。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、政府が推し進める「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」が2015年6月5日に決定されるなど、官民挙げてさまざまな取り組みが展開されています。
バス業界でも、外国人観光客をターゲットとして、「ラーメン体験」「着物体験」など、観光スポット巡りにとどまらず、ニッポンの文化や地域の魅力が再発見できるようなツアー企画が目白押しです。今回は、その一例として、日の丸自動車興業が東京で展開する2つの取り組みにスポットを当てました。
※写真は、2015年4月4日のスタート当初から「クラシックスカイバス」を担当する運転士の伊藤さん。「お客様にツアーを楽しんでいただくためにも、安全運転に特に気をつけながら、バスを運行しています」
■浅草をサムライとニンジャが駆け巡る!
おもしろすぎる!エンタメ観光バスツアーを体験!
佐川急便浅草雷門SCでツアーを受付。荷物を預けて、手ぶら観光ができるのもこのツアーの特長だ!
●浅草「サムライ&忍者サファリ」ツアー
久しぶりの快晴に恵まれた9月の土曜日。取材で訪れたのは、2015年4月4日からスタートした浅草の「サムライ&忍者サファリ」ツアー。「サファリ」というツアー名にもある通り、江戸の風情を残す浅草の街を「探検」しながら、サムライや忍者と一緒に「冒険」するエンターテインメントツアーです。浅草の街にぴったりの、レトロ感あふれる「クラシックスカイバス」がこのツアーをさらに盛り上げます。
●浅草の街を疾走する「侍と忍者」のコメディー劇で観光ツアー
タイムスリップしたサムライと忍者が繰り広げるコメディーで、窃盗で指名手配された忍者を探すためにタイムスリップしたサムライが、現代の浅草で忍者を追いつめていくというのが全体のストーリー。女装した「町娘」や決闘状を運ぶ「飛脚」などとも絡みながら、サムライが忍者との最後の戦いに向かっていくという、浅草の街を舞台として繰り広げる劇進行とパフォーマンスが見どころです。
■パフォーマーとアドリブで絡み合い!? ツアーガイドがMCに変身!
このツアーバスの案内役は、着物を着用したツアーガイドのマイケルさん。バスが出発すると、浅草の街並みや観光スポットを、流暢な英語と日本語でクイズや歌もまじえて、わかりやすく紹介していきます。ここまでは、日本人にもなじみ深い観光バスツアーですが、車内に設置されたビデオモニターに「臨時ニュース」が流れると、車内の空気は一変します。
軽快な三味線の音色と、ツアーガイドからMCへと変身したマイケルさんの巧みな話芸に惹かれて、この日、乗り合わせた外国人、日本人の観光客は皆、窓の外、浅草の街を疾走する「侍と忍者」のコメディー劇の中に、自然とのめりこんでいきます。
途中、忍者がバスに乗り込んでくるシーンでは"忍者の妖術に操られて乗客も踊りだす"という展開で、乗客も巻き込んだパフォーマンスが展開されます。
●「サムライ&忍者サファリ」MC マイケルさん
日本在住10年のマイケルさんは「"外国人のカラオケ大会"のテレビ番組に出演したことがある」ほどの美声の持ち主。今年の春から「Samurai & Ninja Safari」ツアーのMCとして働きはじめ、「ヒップホップにも初めて挑戦中」だということです。
パフォーマーとは特別なセリフ合わせはなく「すべてアドリブで出演者を見ながら合わせているlと語るマイケルさん。「浅草の街のガイドはまだまだ勉強中」ですが、天性の演技力や巧みな話術、持ち前の歌唱力も含めて、これからの活躍が楽しみです。
浅草の街をバスで走りながら、通行人も"知らずに参加"する、ダイナミックな展開!
●浅草の街全体がストーリーに引きこまれる!
このツアーの魅力は、浅草の観光スポット紹介はもちろんだが、浅草の街中を歩く「通行人=一般人」も巻き込みながら、ストーリーが進んでいくところです。
「忍者を見ませんでしたか?」
「どっちに向かいましたか?」
MCがマイクを通して、ストーリーとは何も関係ない通行人に語りかけると、驚いてふりむく人や、笑いながら手を振る人、「忍者」の居所をていねいに教えてくれる人もいて、街全体が劇の中に引きこまれたような印象さえ受けます。
日本人の友人の案内でツアーに参加した、カナダ人の30代の男性は「浅草の観光スポットを巡りながら、ツアーを楽しめた」そうで、似たような観光ツアーの経験について尋ねると、出身地のカナダのトロントなど、ベイエリアの景観を楽しむバスツアーはあるが、今回のようなツアーはないと話してくれました。
ツアーの最後は、バスを降りて、観光スポットの一つ「浅草花やしき」の近くの商店街の一角にありました。いよいよ「侍 vs 忍者」の最後の決闘の場面です。闘いの結末を迎え、パフォーマーの挨拶が終わると、ツアー参加者の特典として、侍や忍者、町娘との記念撮影が待っています。
約90分間の行程を通して、一瞬たりとも参加者を飽きさせない演出の数々が、このツアーの人気の秘密といえるでしょう。
東京では「スカイツリー、秋葉原、渋谷駅前のスクランブル交差点の人混み」がお気に入りと話すカナダ・トロント在住の男性(後列・真ん中)。東京を1日だけ観光した翌日には、日本人の友人と、岐阜の白川郷に向かうという。
2階建てオープンバスで軽快にTOKYO観光!外国人に人気の「スカイ ホップ バス」
- 座席に設置された、多言語音声による観光ガイド
●TOKYOの観光スポットで乗り降り自由!
便利な1day、2dayチケットが人気のヒミツ!
フルオープンタイプなどの開放感たっぷりのスカイバスで、東京のメインスポットを巡る人気の観光路線バス「スカイ ホップ バス」。スカイバスの開放空間を楽しみながら、1日券・2日券を購入すれば、観光スポットで自由に乗降できる手軽さが、外国人にウケています。
「スカイ ホップ バス」の利用客の7割は外国人で、開放された車内から東京の景観が楽しめ、リーズナブルで便利な路線バスとして大人気。取材当日も、停車して人が降りても、またすぐに乗ってくる状況で、座席は常に満員の状況でした。
ベビーカーを持った小さな子ども連れの家族から、老夫婦、ひとり旅、友人と一緒の旅行など、利用客層も幅広く、このバスがいかに利用しやすい移動手段であるかが伺えます。ベビーカーや大きめの荷物も、十分に収納できるスペースも確保されています。
座席には、日本語、英語、中国語などの多言語の音声による観光ガイドも設置されており、ルート内の観光スポットを通過するときに、GPSの位置情報により、通過する場所の観光名物や観光スポットの説明を聞くことができます。イヤホンは無料で、希望する乗客に配られます。
●「スカイ ホップ バス」のアシスタント 辛嶋さん
「スカイ ホップ バス」のアシスタントとして活躍中の辛嶋さん。土・日は、お客様も多く、いつも大変な賑わいだそうです。
外国人の利用者が多いということで、慣れるまではいろいろと苦労も多かったそうですが、やはり「言葉の壁がいちばん大変で、これからもずっと勉強です」と語ってくれました。
●「スカイ ホップ バス」のチケットカウンター
今回の取材では、「Asakusa-TOKYO SKYTREE course」で、浅草花川戸から出発し、上野(松坂屋)〜秋葉原〜新日本橋駅〜丸の内(三菱ビル)のコースをたどりました。
ターミナルの丸の内では「浅草・東京スカイツリーコース」「お台場コース」「六本木・東京タワーコース」など、他コースへの乗り換えができます。また、丸の内のチケットカウンターでは、多言語のパフレットが常備されているほか、外国人スタッフもていねいに応対してくれます。
編集後記
浅草の狭い路地にもツアーバスが所せましと並び、大挙して押し寄せる外国人観光客の多さには、本当に圧倒されます。街の景観をも変えてしまうようなこの光景は、10年前にはまったく想像もできないものでした。
「SNS投稿」や「口コミ」に脚光が集まり、自分が見つけた"おもしろい"観光スポットを紹介するのが「クール」だという傾向も広まって、海外からの来訪者の動向にも、柔軟に対応していく必要性を強く感じます。
「サムライ&忍者サファリ」ツアーは、訪日外国人向けのツアーでありながら、日本人観光客の利用も多いそうです。公共性、利便性、安全性など、バス事業の基盤となる"ニッポン品質"を維持しながら、今後の大きな変化にも柔軟に対応する時なのかもしれません。