BUS STOP No13斬新なニューフェイス登場! 漆黒のはとバス『ピアニシモ III』
斬新なニューフェイス登場! 漆黒のはとバス『ピアニシモ III』
2014年4月、はとバスは最上級バスとなる新型車両「ピアニシモ III(スリー)」を投入しました。2002年から最高のゆとり・くつろぎ・おもてなしの旅を提供してきたピアニシモが、新たな1ページへと大きく踏み出したのです。その車体色は、なんと驚きの「黒」! 今までの、はとバス=黄色のイメージから打って変わって、まったく新しいワクワクする世界が広がりました。「最高の安全性」も備えた車両が、ゆとりの空間とともに、お客さまをバス旅の第三楽章へと誘います。
今回の導入に先駆けて、3月20日、新しい車両についてのお話をうかがいながら、試乗会に参加させていただきました。
■まさに驚きと感動がある! 新世代のはとバスは、カッコよくて頼もしい
●目の前に現れた、ゴージャス&エレガントな車体
まずは、浜松町バスターミナル内の、はとバス総合センター前に集合。あいにく小雨がぱらつく天候でしたが、期待に胸を高鳴らせていると...。ドーーーン! 「おおっ!」 この、まさに「おおっ!」という出会いの衝撃が、新しいはとバス時代の幕開けを、瞬時に感じさせてくれるものでした。漆黒に輝く車体は、存在感バツグン。はとバスが用意されている高級カテゴリー商品「貴賓席の旅」が、さらに大きくランクアップすることは間違いありません。
株式会社はとバスの観光バス事業本部・企画旅行部長の小山壮勇さんに、中長距離ツアーに使われる「ピアニシモ III」に込められた想いや具体的な特長を、分かりやすく紹介していただきました。
「ピアニシモ III」のプラチナ号。水引のデザインが金色のゴールド号もあります。
- 株式会社はとバス 観光バス事業本部 企画旅行部長 小山壮勇さん
- ベージュと木目を組み合わせたスマートなインテリアデザイン
- 本革表皮シートと、安心の多重感知式ELR3点式シートベルト
【インタビュー】はとバス・小山さん
●旅先での「ふれあい」や「おもてなし」と
お客さまを「結ぶ」お手伝いをしたい
...だからこその、水引のデザイン
新しいデザインに込められた想いを、小山さんは笑顔で語ってくださいました。
「外装は、はとバスで初めて黒を導入しています。その漆黒に映えるデザインには、日本の良き伝統である水引をモチーフとした曲線を施しました。これは、お客さまをつないだり、地域と地域をつなぐという、「ふれあい」や上質の「おもてなし」のイメージがあります。水引には『ゴールド』と『プラチナ』の車輌がそれぞれ1台あり、この2台のバスで日本各地をご案内いたします」。さらに、バスのグリルは特注のラメ入りで、天気のいい日には7色に光って見えるそうです。まさに高級感満載ですね! 「それでは、車内に入ってみましょう」
●ゆとりの席数、本革張りシートで
バスの車内も素敵な思い出づくりに
乗り込んでみると、そこはとにかく贅沢なくらいゆったり広々したスペース。こんなバスだったら、旅の道中も素敵な時間、素敵な思い出になるでしょう。はとバスの標準が45席なのに対して、横3席、縦8列の合計24席。しかも総革張りのシートで、優しく包まれる感じです。
「フットレスト、レッグレスト、ひじ掛けビルトインテーブルがあり、全席に100Vコンセントが付いています。長距離ドライブでも快適なくつろぎの時間をお過ごしいただけますし、スマートフォンやデジタルカメラなどの充電ができますから、せっかくの記念撮影で電池切れだったという心配もなくなります」と小山さん。
本当に「乗る人想いのバス」であると言えるでしょう。
はとバス・標準車輌(いすゞガーラ)との比較 | ||
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ピアニシモ III | はとバス・標準車輌 | |
座席数 | 24席 | 定席45席・補助席7席 |
座席幅 | 505mm | 440mm |
座席奥行 | 470mm | 450mm |
シートピッチ | 950mm | 860mm |
外装 | ブラックマイカ | レモンイエロー |
シートベルト | 多重感知式ELR3点シートベルト | 2点式シートベルト |
化粧室 | あり | なし |
■さまざまな角度から検証された「最高の安全性」も大きなポイント
- 無線による「ストリーミング音楽放送システム」は、操作も簡単
- カリタ社製の本格的なコーヒーメーカーを装備
●まずは客席、安心の3点式シートベルト
さらに追求したのは、国内最高ランクの安全性でした。「ピアニシモ III」は、すべてのシートに多重感知式ELR3点式シートベルトを装備しています。これまでは最前席のみの採用でしたから、万が一の衝突の際にも、すべてのお客さまをしっかりと守れる体制がさらに整備されました。
●バスへの導入は画期的なタイヤ空気圧モニタリングシステム
バスそのもののシステムも、安全性を追求しています。今回初めて取り入れる画期的なしくみは、走行中の正確な空気圧と温度をリアルタイムで確認でき、高速道路でも安心走行できる「タイヤ空気圧モニタリングシステム」。タイヤのパンクやバーストの危険を見張る、フランスLDLテクノロジー社の『TIRE WATCH』というシステムです。前方の障害物をミリ波レーダーで自動感知し、万一の衝突に備えてブレーキが自動的に作動する「衝突被害軽減ブレーキ」や、車両横転を防ぐ「車両安定制御システム」も搭載されています。
そして、貸切バス事業者安全性評価認定制度において、現在取得可能な最高ランクの二つ星に認定されている「はとバス」専属乗務員が、お客さまをお迎えするのです。
●「ピアニシモ III」のオリジナルサービス
もちろん、オリジナルサービスも充実しています。「ピアニシモ III」のために開発した無線による「ストリーミング音楽放送システム」は、手元で簡単に操作できる携帯式の小型受信機。お帰りの車内で、4つのチャンネル(テレビ・ラジオ・CD2種)を楽しむことができます。他にもこんなサービスが、ひとつ上のバス旅を演出します!
・おしぼり・スリッパの提供
・飛行機のファーストクラスでも使用されている高級ブランケットの貸し出し
・煎れたてのコーヒーなどのお飲み物サービス
・貸し傘(雨傘・日傘)サービス
■そして優しいピアニシモの調べとともにバスは行く...
- バスガイドの及川典子さんは、楽しく興味深いお話の達人でした。
●黄色いはとバスからの思いきった脱皮
ピアニシモは、音楽の演奏記号「きわめて優しく」がその名前の由来。心からくつろげる優しい空間とともに、いざ出発進行! すると、耳には優しい名調子が聞こえてきます。バスガイド・及川典子さんの心地よい名所案内とともに、この日のバスはレインボーブリッジから銀座へ、そして東京タワーへと向かいました。及川さんは「ピアニシモ III」について、こう語られました。「重厚感あふれる色合いは、はとバスの中でもとりわけ斬新です。私たちも黄色いはとバスにすっかり慣れていますから、駐車場でバスを探してしまうこともあるんですよ(笑)。でもこのバス、お客さまには乗り心地が最高だと、たいへん好評をいただいています」
- 化粧室は、床とカウンターをダーク色で統一した落ち着きのあるデザイン
●安心の長旅に欠かせないのはトイレ
長い旅でも心の負担を解消してくれるのは、トイレの存在のおかげです。車両後部に設けられた化粧室付トイレは、広くて使いやすい空間。女性の方が座ってお化粧ができるように、便座の前方に簡易いすを出すこともできます。LED照明が内蔵された手すりなど、ご年配のお客さまに対する安心のサポートもあります。
左写真:フット&レッグレストで、ゆったり、らくちん。これなら長旅でもリラックスできます。
通路灯は、かわいらしい「はと」のデザイン。
右写真:窓が広くて、風景を満喫できるのも大きな特長。車窓から眺める歌舞伎座の佇まいも格別なものでした。
●36人乗り化粧室トイレ付バス「レガート」も新登場!
さて、「ピアニシモ III」は東京タワーに到着。そこで待っていたのは、もう1台のはとバス「レガート」でした。こちらも、渋滞時にも安心できるトイレ付き。リゾート気分を感じさせるカラフルで楽しげなシートには、やはり100Vコンセントが備えられています。
左写真:「レガート」のボディの水引デザインは、7色のレインボーカラー
右写真:お花畑にいるような、リゾート気分あふれる「レガート」の車内
■めざしたのは、時代にふさわしいアッパークラスの高級感
●シニアによる思い出づくりやご家族へのプレゼントなどに
改めて、今回の導入の背景について、小山さんにお話をうかがいました。「ヒントにさせていただいたのは、JR九州さんの『ななつ星』ですね。今の時代は、高級志向も次第に高まっています。そこで私たちも、シニア層の旅行や、子どもから親世代へのプレゼントなど、かけがえのない豊かで上質な旅をご提供したいと考えました。このバスの水引のデザインのように、あたたかな絆づくりのお役に立てたらうれしいですね」...みなさんもぜひ、新しいはとバスの挑戦をご覧になられてはいかがでしょうか。
車輌概要
・バスシャーシ:いすゞ自動車株式会社
・ボディ製作・デザイン:ジェイバス株式会
・シート製作:天龍工業株式会社
・全長11.990m、全高3.750m、全幅2.490m
取材後記
はとバスは、戦後間もない昭和23年に創業。ちょうどこの取材の前日に、東京の定期観光運行開始より65周年を迎えられたそうです。今回の「ピアニシモ III」の導入にあたって、最初は社内では黒色のバスに反対の声も多かったそうですが、新たなはとバスの魅力を伝えるためにも大きなチャレンジをされたとのこと。優越感のある旅が、時代ならではのキーワードと言えそうです。