BUS STOP No12『第62回中央技術委員会全国大会』プロの知恵
『第62回中央技術委員会全国大会』創意工夫を生み出すプロフェッショナルの知恵
2013年11月28日(木)、東京・大手町のサンケイプラザで『第62回中央技術委員会全国大会』を開催しました。
日本バス協会主催の本大会は、安全運行に欠かせない普段のバス整備の重要性を再認識するとともに、技術者の創意工夫とアイデアを広く共有することが目的です。全国から約200人の技術者が出席し、「発明考案功労者」の表彰と「発明考案受賞作品」の発表、技術業務報告、特別講演、懇親会、商品展示会が行われました。
普段はめったに人の目に触れないバスの「整備」や「技術」の世界を、少しだけご紹介いたします。
写真:発明考案功労者の銀賞受賞者・神戸市交通局の大森さんと水口さん
■『第62回中央技術委員会全国大会』の概要
- 銀賞の表彰状を授与する高橋会長と受賞者
- 銅賞の表彰状を授与する高橋会長と受賞者
- 「発明考案受賞作品(銀賞)」の発表風景
●『第62回中央技術委員会全国大会』について
2013年11月28日(木)、東京・大手町のサンケイプラザで『第62回中央技術委員会全国大会』を開催しました。
全国から約200人の技術者が出席し、発明考案功労者の表彰、発明考案受賞作品の発表、技術業務報告、特別講演、懇親会、商品展示会が行われました。
●「発明考案功労者」の表彰
銀賞:神戸市交通局の大森さん・水口さん
「発明考案功労者」の表彰では、今回は「金賞」の該当はありませんでした。
・銀賞『ディーゼル微粒子捕集フィルター清掃装置』
神戸市交通局の大森基充さん・水口朝文さん
・銅賞『スライドドアローラー脱着治具』
西鉄エム・テックの川嶋偉利さん
・努力賞『標準ノンステップバス車いす固定装置の改良』
西武バスの齋藤直人さん
・努力賞『ドライブレコーダー映像取込み装置』
西武バスの金子敦史さん
・努力賞『セルモーターピニオン脱着用固定治具』
京浜急行バスの桑谷 純さん
・努力賞『UD車尿素水ホース取外し工具』
川崎市交通局の佐久間雅之さん
・努力賞『スライドドア用ガイドローラー改善』
西鉄エム・テックの河野 寿さん
日本バス協会長・高橋 幹(中央右)、中央技術委員会委員長・森口明好(中央左)と「発明考案功労者」受賞者の皆さん
■『第62回中央技術委員会全国大会』商品展示会
『第62回中央技術委員会全国大会』では、併設の会場で商品展示会が行われました。ここでは、展示品のいくつかをピックアップしてご紹介します。
●商品展示会に出展された製品
※システム、装置、装備品などの名前をクリックすると、出展企業名と関連展示品がご覧いただけます
■『第62回中央技術委員会全国大会』商品展示会ピックアップ
- ドライブレコーダーYAZAC-eye3 LDW
- ドライブレコーダーYAZAC-eye3 LDW
●矢崎エナジーシステム株式会社
【主要展示品】
・ネットワークデジタルタコグラフDTG5
・ドライブレコーダーYAZAC-eye3 LDW
【コメント】
こちらは車線を検知するドライブレコーダーです。擬似的に模型にメインカメラをとりつけた映像を流しています。車線がずれるとそれを検知して、音で警告すると同時に、カードの中にどこでフラついたのかがわかるようにハザードマップに記録します。ウィンカーを出しているときは、警告音は出ません。
たとえば、日報に、今日は何回フラついたのかも記録します。こちらは主に高速を走るバスやトラックのお客さまに利用されています。
車載機は交換ではなく、矢崎の現行モデルYAZAC-eye3をお使いの方でもアップデートで提供できます。このため、YAZAC-eye3を100台導入されているバス会社さまでも、そのうち高速バスの車両のみLDWをアップデートして導入することができます。アップデートの価格も安価です。
これまでのドライブレコーダーは、事故の記録が目的でしたが、この車線検知機能によって、事故を予防することができます。これは矢崎エナジーシステムにしかできないことです。車載機とカメラが別なので、コンパクトに収納できます。カメラは最大5つ搭載できます。
- アルコール検知器AC-015
●株式会社ベーシック
【主要展示品】
・アルコール検知器
【コメント】
このアルコール検知器は、これまでは営業所を基点に行っていたアルコール検査が、スマートフォンなどの周辺機器を使って、遠隔地での実施も可能になります。さらに、電気化学式センサーを搭載し、アルコール以外のものには反応しにくいのが特長です。スマートフォンでは、Bluetoothとアプリを使って、吹いた瞬間の本人画像とその時間と位置情報が、遠隔地から管理者に送付することができますので、貸切バスなどの運用時にも最適です。
- バスダイヤ編成支援システム「新時ダイヤ」の線引画面
●株式会社工房
【主要展示品】
■バストータルシステム
・バスダイヤ編成システム
・高速バス予約管理システム
・貸切バス予約運行管理システム
・運賃三角表作成システム
【製品紹介】バスダイヤ編成支援システム「新時ダイヤ」
処理スピードと操作性が要求されるダイヤシステムを実現する「新時ダイヤ」。高速ウィンドウで瞬時にデータを確認・修正できる「線引画面」、拡大・縮小が自由自在な「仕業編成画面」、表形式で簡単に入力できる「基礎データ入力画面」、広域表示から自由に素早く滑らかに拡大する「路線図画面」が特長です。「路線図画面」には実車表示、回送表示、経路表示の3つのパターンが用意され、各停留所の停留所時刻表も瞬間表示し、運行シミュレーションを地図上で行なうこともできます。
- バスロケーションシステム
●株式会社神奈中情報システム
【主要展示品】
・車両管理システム
・バスロケーションシステム
・ドライブレコーダー解析システム
【コメント】
今回は、バスロケーションシステムのほか、車両にカメラをつけて動画撮影し、その時の速度や加速度を常時記録するドライブレコーダー、整備計画用の車両管理システムを出展しています。
ドライブレコーダー解析システム(左)と車両管理システム
- タッチパネル付き運賃箱
●レシップ株式会社
【主要展示品】
・タッチパネル付き運賃箱
・OBC-VISION
・LED式ステップ照射灯
【コメント】
「タッチパネル付き運賃箱」は、従来よりもタテ幅を5cm縮めて、ヨコ幅160mmの薄型になったのが特長です。特に、操作盤では、ボタンだったところをタッチパネル方式に変更しました。いろいろな操作も画面を切り替えるだけで、よく使うボタンだけが見えて、操作しやすくなりました。
取材後記
中央技術委員会全国大会は、バスの安全を守るために、日々汗を流している技術者の努力を大いに評価する大会です。プロフェッショナルの技とアイデアを評価し、さらなる向上を目指すとともに、それらの情報を広く共有することが目的です。併設の商品展示会でも、さまざまな企業が作り出したバスを支える製品が展示されています。
普段はなかなか表面には見えにくい、さまざまなアイデアや技術、製品が、バスの巨体の中には息づいています。毎日、どれくらい多くの人の手によって安全が作られ、守られ、バス事業が成り立っているのかを、さまざまな視点から知っていただくことも重要だと思います。